リンパ浮腫とはリンパ管に障害があることでリンパ液の流れが滞り、皮下に過剰に水分が溜まった状態(むくみ)をいいます。
乳がんや子宮がんなどの手術でリンパ郭清を行った場合や、放射線治療後などに発症する可能性があります。
手術後すぐに発症する場合もありますが、5年や10年経ってから発症する場合もあります。
また、先天的にリンパ管が少ない、短いなどの発育不全の方もいらっしゃいます。
リンパ浮腫は一度発症すると完治することはないと言われており、一生付き合っていくことになります。
ミソラ治療室では患者様お一人おひとりに合わせた治療プランを提案させていただき、リンパ浮腫と上手に付き合っていく為の手助けをさせていただきたいと思っております。
蜂窩織炎とは、皮下組織の広範囲の炎症のことです。
リンパ浮腫の合併症のひとつで半数以上の方が経験するといわれています。
リンパ液の流れが滞ると免疫力が落ちるため、小さな傷や乾燥した皮膚の隙間から細菌感染を起こしやすくなります。
蜂窩織炎を繰り返すと浮腫状態が悪化し、象皮症(ぞうひしょう)という状態にまで進んでしまうことがあります。
そのため、蜂窩織炎にならないためのケアが大切になります。
〇こんな症状が出たら注意
①悪寒(身体全体の寒気、震え)
②発熱(38℃以上の高熱)
③発赤(患肢全体が赤くなる)
※患肢に赤い斑点が散在し、局所に熱感はあるが発熱はみられない場合などもあります。
このような症状が出たら医師の診察を受け、炎症の治療を最優先します。
マッサージや圧迫療法などの治療は一時休止します。
<処置>
①病院を受診、抗生物質の服用
②熱感のある(赤みがある)部位を冷やす
③寒気がある場合は身体を温め、安静に過ごす
〈初診時にご持参いただきたいもの〉
・主治医からの診療情報提供書(患者紹介状)
・お持ちの方は弾性包帯、弾性着衣(スリーブやストッキングなど)
①予診票の記入、診療情報提供書の提出
予約の15分ほど前にご来室いただき、診療情報提供書の提出、予診票の記入をお願い致します。
現況を把握し治療計画を立てるので、詳しくご記入下さい。
予め記入を希望される方は予約時にお申し付け下さい。
予診票を送付いたします。
②着替え
個室にご案内致します。
ゆったりとした着替えを用意しておりますので、上の下着(ブラジャー、キャミソール等)は外していただき、ショーツのみになり素肌の上に着用して下さい。
③問診
予診票を確認しながら、問診させていただきます。
心配なことや気になっていることなど、何でもご質問下さい。
④所見
血圧、体温、体重、患肢の写真撮影、計測など記録を取らせていただきます。
浮腫症状、皮膚の状態の確認をいたします。
炎症の兆候が見られる場合は治療ができないことがございますので、ご了承下さい。
炎症の兆候:発赤、紅斑、悪寒、発熱、腫脹
⑤スキンケア
保湿クリームをつけ、乾燥を防ぎます。
⑥医療徒手リンパドレナージ
ゆっくりしたやさしいマッサージを行い、患肢に過剰に貯留したリンパ液の排出を促します。
また、硬くなった皮膚をほぐすマッサージも行います。
⑦弾性包帯または弾性着衣による圧迫療法
リンパドレナージで改善された状態を維持するために圧迫を行います。
浮腫の状態、生活環境や年齢などを考慮して、弾性包帯または弾性着衣を選択いたします。
⑧圧迫下での運動療法
圧迫をした状態で患肢を動かすことにより、リンパ液の排出を促します。
⑨セルフケア指導
セルフマッサージ、セルフバンテージ(弾性包帯)をお教えします。
また、日常生活での注意点についてのお話をさせていただきます。
初診を受ける前に治療内容についてや弾性着衣の療養費についてなど、事前にご来室いただいて説明を受けることも可能です。
初めての場所で、初めて会うセラピストに治療を受けるのは不安があると思います。
ぜひ一度ご来室いただき、治療室内の雰囲気を見たり、心配事や気になっていることなどをお尋ね下さい。
お電話(070-6998-4836)・お問い合わせ・LINEよりご連絡下さい。
以下の疾患、症状がある場合はマッサージなどの治療は行えません。
①心性浮腫、心不全
②感染症(風邪、インフルエンザ、水虫など)
③急性炎症(蜂窩織炎、皮膚炎など)
④急性静脈炎(深部静脈血栓症、急性静脈炎など)
<参考>
①皮膚を傷つけない
・注射、血圧測定などは健側で行う
・深爪にならないように気を付ける
・虫刺されやひっかき傷などに気を付ける
②ゆったりした衣服、靴を選ぶ
③重い荷物を持つときは小分けにして運ぶ
④長時間の立ち仕事では適宜休憩をとる
⑤長時間の温泉浴やサウナ浴は避ける
⑥バランスの良い食事、適度な運動、規則正しい生活を心がける など
ご自身のお身体と相談をしながら、無理のない範囲ではじめていきましょう。
※2020年4月 改正
弾性着衣(ストッキングやスリーブ等)は療養費の対象です。
保険で購入することができます。(1割~3割負担)
※一度全額お支払いいただき、加入している保険組合に申請していただくと指定の口座に差額分が振り込まれます。
対象の方は主治医からの「弾性着衣等 装着指示書」をご用意ください。
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<対象疾病>
鼠径部、骨盤部もしくは腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍の術後に発生する四肢のリンパ浮腫または原発性の四肢のリンパ浮腫
・製品の着圧
30mmHg以上
(医師の判断により特別な指示がある場合は20mmHg以上でも可。その旨を装着指示書の特記事項欄に記入。)
・支給回数
1度に申請できるのは装着部位ごとに2着まで。
半年ごとに申請可能。(1年で合わせて4着まで)
・支給申請費用
弾性ストッキング(1着)…28,000円(片足用は25,000円)を上限
弾性スリーブ(1着)…16,000円 弾性グローブ(1着)…15,000円を上限
※弾性包帯(バンデージ等)については医師の判断により弾性着衣を使用できないとの指示がある場合に限り療養費の対象。
弾性包帯1組(筒状包帯、パッティング包帯、ガーゼ指包帯、粘着テープ等)…上肢7,000円 下肢14,000円を上限
(厚生労働省の資料を参考)
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詳しくは当治療室までお問い合わせ下さい。TEL:070-6998-4836
【下肢にバンデージを巻いた様子】
【上肢にバンデージを巻いた様子】
初診時、症状によりバンデージを巻く場合がございます。
〇バンデージを巻く時の服装について
【下肢リンパ浮腫の方】
・ゆとりのあるズボンやロングスカート
・普段より2サイズ程大きいひも靴やマジックテープ式の靴等
【上肢リンパ浮腫の方】
・ゆとりのある脱ぎ着のしやすい衣服